「マンジャロをやめたら、また戻ってしまうのでしょうか」。治療を続けている方からも、これから始めようか迷っている方からも、同じくらいの頻度でいただくご質問です。結論から言えば、何の準備もないまま急にやめた場合、体重が戻りやすいのは事実です。ただ、その理由がはっきりしている以上、備えようもあります。この記事では、終了後に体重が戻る仕組みと、当院でお伝えしている進め方を整理します。
やめたあとに戻りやすい理由
マンジャロは、食欲を抑える方向に働く薬です。裏を返せば、薬をやめれば、その作用も数週間かけて抜けていきます。
体感として最初に戻ってくるのは、空腹感です。治療中は「もう十分」と感じていた量で満足できていたのが、以前と同じくらいの量を食べたくなる。この変化そのものは異常ではなく、薬が効いていた分が元に戻っただけと考えていただいて構いません。
問題は、そこで食事の量が治療前の水準に戻ってしまうことです。減量後の体は、以前より基礎代謝が下がっています。同じ量を食べても、以前より余りやすい。この差が、体重の戻りとして表れます。
「意思が弱いから戻った」ではない
外来で気になるのは、体重が戻ったことをご自身の責任のように受け止めてしまう方が少なくないことです。減量後に食欲が増し、体がエネルギーを蓄えようとするのは、生き延びるための仕組みが働いた結果です。意思の強さの問題として片づけると、次の一歩が踏み出しにくくなります。
やめ方には段階がある
治療を終えるとき、選択肢は「続ける」か「やめる」かの二つだけではありません。実際には、次のような段階を踏むことが多くあります。
- 用量を一段下げて、その量で維持する
- 注射の間隔を、週1回から10日〜2週間に広げる
- 一定期間だけ休薬し、体重の動きを見る
- 完全に終了する
いきなり止めるより、間に段階を置いた方が、体重も食欲も落ち着きやすい傾向があります。どの進め方が合うかは、それまでの経過や生活の状況によって変わりますので、外来でご相談いただくのがよいところです。
やめる前に整えておきたいこと
終了後の体重を保てるかどうかは、やめた後よりもやめる前の数か月で決まる部分が大きくあります。
薬の力で食事量が自然に減っている期間は、生活習慣を組み替える絶好の時期です。この間に、以下のような形が身についているかどうかで、その後の見え方が変わります。
- 毎食にたんぱく質が入る食事の形
- 決まった時間に体重を測る習慣
- 週に数回でも体を動かすリズム
- 満腹より少し手前で箸を置く感覚
薬が効いているうちは、これらを負担なく続けられます。逆に、薬だけに任せて食習慣が治療前のままだと、やめた瞬間に元の生活へ戻ることになります。食事の整え方はマンジャロ中の食事はどうする?タンパク質と水分の考え方で詳しくまとめています。
やめたあとの数か月をどう見るか
終了後、体重が多少戻ることはよくあります。数百グラムから数キロの範囲で動くのは、水分量の変化も含めた自然な揺れです。
見ていただきたいのは、戻り幅がどこで止まるかです。数か月かけてゆるやかに戻り、ある水準で落ち着くのであれば、その体重が今の生活で維持できる位置ということになります。一方、止まらずに治療前の体重を超えていく場合は、食事や生活のどこかを見直す時期に来ています。
再開という選択肢もある
一度終了した方が、しばらく経ってから再開されることもあります。「やめたら戻ったから失敗した」ではなく、生活の状況に合わせて使う時期と使わない時期を分ける、という考え方です。
ただし、しばらく間が空いた場合、以前と同じ用量から再開すると副作用が強く出ることがあります。再開時の用量は改めて判断が必要ですので、マンジャロを打ち忘れたときの対処|間隔が空いたらどうするもあわせてご確認のうえ、外来でご相談ください。
当院での考え方
当院では、治療を始める段階から「いつ、どうやって終えるか」までを視野に入れてご説明しています。減量そのものより、その後の数年をどう過ごすかの方が、健康という観点では大きな意味を持つためです。
やめたい理由、続けるか迷っている気持ち、いずれもそのままお話しいただいて構いません。ご自身の生活に合った着地点を一緒に考えていきますので、まずは医師にご相談ください。